東側道路で長辺が道路に面した長方形。
道路に接する部分が長いのは、設計上の自由度が高い反面
プライバシーを侵害される恐れが大きくなります。
南側に大きな開口部を設けて東側には最小限の開口部にとどめました。
階段を建物中央に置きいつも人のいるLDKの空間を通って
2階へ行き来する形にしました。
かつては窓を設けるため外壁に面した部分に階段室を
設けましたが
トップライトや吹き抜けを活用することで
建物の中央でも快適な階段が出来る事になりました
北側道路の縦長の敷地です。敷地は50坪です。
積雪の多い地方のため東西の隣地境界からの距離を他の地方の縦長の敷地より若干広めにとって有ります。そして物干し場を設けています。
敷地が50坪も有ればいろいろなことが可能です。
ハウスメーカーの間取り図を拝見する機会が沢山有りますが
設計の内容のから推し量るとその担当者に、提案力、施主のニーズを掴む能力
などが不十分な方もいるように思います。
先日あるHMの管理者と話す機会が有りその話をしたところ
「人材を育てたいが実際には十分ではない、
担当者の能力にばらつきが大きくそれが悩みどころだ」
というような発言が有りました。
強大な資本力で大量に受注する力が有るハウスメーカーには
質の良い提案が出来る様な人材確保と養成をお願いしたいものです。
総工費を坪単価x坪数で出すのはあくまでも目安です。
間取りを考える時にあれもこれもと夢を膨らませて出来上がった図面で見積もりしたら
予算の倍以上だったと言うようなことが沢山有ります。予算内に収まらないのは新国立競技場だけでは有りません。
建築の価格はそれぞれの工事の積み上げによって積算されます。
基礎の形状、柱の本数、屋根の面積、壁仕上げの面積、サッシの数等等、、、、
ものすごい数の項目に関して単価x数量を全て計算して総額を出します。
設計段階ではそのようなことは出来ません。
今までやってきた仕事の事例から一般的な住宅だと50万円/坪位見ておけば大丈夫かな?
地方では40万円/坪位で出来るかな?とか考えながら進めます。
間取りの計画で予算を考慮する時には、予算総額÷坪単価で目標とする規模を想定して行きます。とてもアバウトな考えですが、まったく目標も立てずに闇雲に考えるより少しはましです。
仕上げが上等なものに変わったり、住宅設備でこだわりの商品を取り付けたりして100万円/坪に成ってしまったというようなことも有ります。このような場合は仕上げを標準に戻し、住宅設備をスタンダードに戻せば何とか成るわけです。
しかし部屋数が多くなって面積が大きくなってしまった建物これには困ります。部屋を取りやめ、面積を切り詰めると言う作業が必要にもなります。この場合には設計をやり直すわけですから設計に掛かるコストは倍近くなり、設計期間も倍近くなってしまうことになります。
そして何より無秩序に膨らませてしまったとはいえ、夢がしぼんでゆく悲しさを味わうことになります。
新国立競技場の整備費が2520億円で強行されそうです。多くの反対意見がある中で「国際的に約束したこと」と言うことで民意が押し切られるのには歯がゆく思います。沢山のしがらみの中で方向転換することは難しいと言うのは解るのですが。ギリシャの経済破綻や、太平洋戦争で敗戦まで流れを修正できなかった日本の歴史と重なるイメージを抱くのは私だけではないと思います。
実は間取り作りのプロセスでも同じようなことが頻繁に見られます。
『住宅展示場で見た「スキップフロアーの家」に一目ぼれしてしまってどうしてもスキップフロアーの家にしたい』と言うケースが何件かありました。
「スキップフロアー」は一部1.5階分の吹き抜けのダイナミックな空間が出来て、半階分の広い収納が出来て夢がいっぱいです。
しかし具体的に設計を進めると、リビングとキッチン、キッチンと洗面・脱衣・浴室が半階ずれて家事動線が長く段差ができたり、面積も大きくなりやすく、コストも余計に掛かったりします。間取りを作ってそのような事を説明してもなかなか受け入れられにくいものです。
予算や敷地に余裕がある場合には支障なく夢をかなえることが出来ると思います。そうでない場合には、あきらめて別の理想を求めることも重要です。
先日の記事では「理想を求め続けること」が大事と書きました。今回は方針転換することも大事と言う記事です。矛盾するようですが、「善は急げ」「急がば回れ」と言うような対を成すことわざが有るように、どのような時にも通用する道具は無くその時々に使い分ける知恵が必要と考えます。
S様は間取りソフトを使って間取りを自作していましたが思うように行かないとのことでした。
第一回目の図面(=たたき台と呼んでいます)をお送りして、それに対する感想やご意見をお聞きして、次に第一回目の変更案をお送りしました。
するとS様から「頂いた間取りなのですが、おそらくこちらでも編集ができるかと思います。ただ未だやり方が十分解かっておりません・・・勉強しますね!」という健気なご連絡がありました。
しかしお返事は下のようにさせていただきました。「いいえ勉強しないでください、間取りを作るのは建築士の仕事です。住まい手の仕事はどんな生活をしたいか、どんな部屋が好きか、どんな家具が好きか、など夢を膨らませることです。近々、第三案をお送り出来ると思います。少々お待ちください」
間取り作りは技術です。間取り図のソフトが使いこなせるようになっただけでは建築になりません。
法規、構造などは建築士の勉強をしていないと理解しにくいことが有ります。また間取り作りでも、ゾーニング、ブロックプラン、動線計画、日照計画などの建築計画の基本から始まって、各部屋や部分の設計まで、沢山の知識と知恵を駆使して建物に仕上げて行きます。
理想の家を手に入れるのに重要なのは、「どのように生活したいか」その理想像を出来るだけ具体的ににして、それを設計者に伝えることです。
平屋、4LDK
平屋建てのご希望。嫁いだ娘さんが帰省したときのための小屋裏部屋を2階に用意しました。お祖母さまの「玄関は東に」と言う強い希望があって東に玄関を設けています。LDと和室を南に配置し寝室と子供部屋は北側に配置しました。キッチンから家事室を抜けて玄関に抜ける動線、階段下を利用した土間収納、家事室から洗面脱衣、浴室への動線など、お忙しい奥様にも「家事が楽そう」と喜んでいただきました。
平屋建ては中央部に日の当たらない「行灯(あんどん)部屋」が出来てしまうことが多く対策が必要です。洗面脱衣室の一部をロフトの高さまで立ち上げてハイサイドライトを設けています。廊下と家事室の壁の上部にランマを設け日中電気をつけなくて済むように考えています。
テーマを持とう(その1)では世界一有名な落水荘を取り上げました。
今回は日本一有名な軽井沢山荘をご紹介いたします。
建築家吉村順三先生の作品でご自身の所有する山荘です。
一昔以上前の建築雑誌のアンケートで、建築関係の読者が「もっとも好きな建築」に選んだ作品です。
小規模ながら考え抜かれた建物です。技術的なものはもちろん使う人の心の動きまで計算しつくされていて、最高の”心地よさ”のある建物です。
沢山の方によって語られた建物でいまさら私ごときがと思いますが
テーマを持とうと言う視点で言えば、「軽井沢」と言う土地の厳しい自然に対応し、森の木々の美しさを上手に味わうことが出来るように配慮されていて、地名がテーマになった好例と言えます。
写真は「けんちく激写資料室」さまからお借りしました。建築に興味をお持ちの方にはお勧めのサイトです。